TOPひと to ひと>おたからびと 中島愛治さん

おたからびと
地域にはたくさんの素晴らしい方々が様々な活動をされています。
そんな “ひと”にスポットライトをあててご紹介します。

中島愛治さんの写真
Vol.4

通円亮太郎さん 通圓 第23代目当主
日本で最初のお茶のみ処
 夜が明けてあたりがだんだん明るくなってくると鳥たちの声が聞こえてきます。あまり自然に恵まれているとはいえない住宅街の中でも、何種類もの鳥が飛び交う姿が見られます。
 鳥の名前がわかったら楽しいだろうなぁと思い訪れた図書館で、私は「探鳥ノート 野鳥と語る356日」という本に出会いました。紹介文に「鳥を愛し、愛される人生がここに。」とあります。著者の中島愛治さんが、鳥取で過ごしたこども時代、そして宇治に移り住んでからの野鳥との様々なエピソードを綴ったエッセイです。図鑑のように鳥の特徴を並べてあるだけの本ではなく、大好きな鳥に寄り添う気持ちがひとつひとつのエピソードから伝わってきます。太陽が丘やおぐら池干拓地など身近な場所がでてくるので、鳥の世界がいっそう身近に感じられます。
 時を経て、その本の著者である中島愛治さんにお会いする機会に恵まれました。

掲載日 2009.8.28


通圓の写真子どもたちに野鳥や自然を通して優しい人間になってもらいたい。

 中島愛治さんは子どものころから鳥が好きで、長年、野鳥の観察や保護活動を続けてこられました。昭和60年、太陽が丘に野鳥の森ができたことを機会に、地域の子どもたちに野鳥や生きもの、自然を通して優しい人間になってもらいたいとの思いから「宇治愛鳥緑の少年団」を発足されました。野鳥の観察や、野鳥に絡まると危険な釣り糸拾い、募金集めなど、子どもたちが自然を感じ、“命”の大切さを感じ、豊かな経験を積み重ねることができる様々な活動をしてきました。
 中島さんは、鳥の話をされるとき本当にうれしそうな表情になります。優しい笑顔で次々と語られる野鳥の話にきっと子どもたちも引き込まれたことでしょう。
 「個人でやっている小さな活動ですから・・・。」
 控えめにそう話す中島さんですが、20年以上もこのような活動を続けてこられました。これまでの活動が認められ日本鳥類保護連盟の総裁賞他数々の賞を受賞されています。
 子どもたちとの活動の様子を語るとき、中島さんの表情はいっそう楽しげになります。活動の中で、例えば鳥小屋を作るとき子どもたちにのこぎりやナイフを使わせるのですが、危ないことは最初にきちんと教えておいて大人は手を出してはいけないことになっているそうです。自分でやり遂げることで子どもたちの自信になるからです。
 子どもたちの作文を見ると、テグス(釣り糸)拾いをして足のないハトを見つけたこと、どうしてこんなにテグスやゴミを捨てるのかという疑問、募金活動をしたとき最初は恥ずかしかったけどいろいろな人に出会って感動したり残念に思ったり、最後に感じた達成感など、体験を通した率直な気持ちが書かれていました。
 「ここは学校ではないので。」 と中島さん。作文などは、とにかく褒めると子どもたちもうれしくなってたくさん書けるようになるのだと言っておられました。それでもただ闇雲に褒めているわけではなく、ひとつひとつの作文を紹介する表情から、子どもたちを大切にしている気持ちが伝わってきます。何年もたっているのに、子どもたちのことをひとりひとり本当によく覚えていらっしゃることからも、中島さんの心配りが伝わってきます。
 「好きなことをして遊ばせてもらっています。」 と語る中島さんは、鳥を見ることとともに、子どもたちと過ごすことが楽しくてしかたがない様子でした。

京都宇治隼(はやぶさ)隊

 それでも近年少子化や子どもたちが忙しくなったこと、知らない子どもに気楽に声をかけられない社会状況などにも影響されて団員が減少し、H18年に卒団生や大人も参加できる京都宇治隼隊として再スタートすることになりました。隼は生態系ピラミッドの頂点にあって悠然としていてとても強い鳥です。「能ある鷹は爪を隠す」のイメージから名づけました。100名以上の参加者がいます。京都宇治隼隊では、野鳥の調査・観察会をはじめ植樹、清掃などの自然保護活動をしています。
 中島さんはこれまでに、たくさんの鳥の命を救ってこられました。怪我をしたり巣から落ちたりして保護された鳥たちです。
 巣から落ちた燕を保護されたときの話です。最初駆けつけたときにはその燕の心臓は動いていませんでした。それでもあきらめずに手の中でぎゅっと握っていると、心臓が反応したのが手に伝わってきました。一度死んだと思った命がよみがえった瞬間でした。そのように峠は越えても、そのあとの世話が肝心です。その鳥の習性にあったケアをしなければなりません。食べ物や環境を適切にしてあげなければすぐに死に至るのです。道に落ちているかわいそうな野鳥を保護したという美談をよくニュースなどで目にしますが、実は巣立ちの練習をしている雛であることもあるそうです。善意のつもりが、鳥にとっては大事に育てた雛を連れ去られるという非情な行為になってしまうこともあるのです。保護すべき鳥なのか、それとも連れ帰ってはいけない鳥なのか、しっかりとした知識がないとなかなか判断できません。相手をきちんと理解することではじめて本当に相手のためになることができるのだと感じました。
 中島さんの精神は京都宇治隼隊でも生かされています。例えば写真を撮るために子育て中の野鳥に不必要に近づくことなどは御法度なのです。あくまでも鳥の立場に立った活動をしています。

今後のことについて

 中島さんが長年続けてこられた「緑の少年団」の活動は全国的なものでしたが、現在宇治では緑の少年団がなくなってしまいました。できたら宇治にも緑の少年団を復活させたいという思いがあります。また、前回本を出されてから約10年以上が経ち、その後の話をまた本にまとめたいと言っておられました。この十年余りで宇治の環境も大きく変わったことでしょう。鳥の生活にも少なからず影響があると思われます。自然を愛し、野鳥を愛する中島さんのお話をまた拝見できる日が楽しみです。

取材と記事 : 高橋邦子 (NPO法人 まちづくりねっと・うじ サポーター)
撮影 : 谷山 光 (NPO法人まちづくりねっと・うじ 理事[事務局長])


連絡先
京都宇治隼(はやぶさ)隊 (一般参加者歓迎) 
事務局 〒611−0025
京都府宇治市神明石塚21−14  中島愛治方
問い合わせ  0774−23−3479

 

(C)Copyright 2008 NPO法人まちづくりねっと・うじ. All right reserved.